なんだよ!テーブルマナーもわかってねぇのかよ!
もういいよ、このセリフちょっと別の人に代えて!
君は奥の方で映らないようにしてて。
こんにちは????
上記の言葉は、昔、僕が実際に撮影現場で言われたことのある言葉です????
テーブルマナーという言葉は聞いたことがあると思いますが、どれだけの人が、このテーブルマナーに対応できるでしょうか?
僕がテーブルマナーの重要性に気づいたのは、それを知らなかったことが原因で大事なセリフを外されたときでした。座り位置もカメラにほとんど映らない場所に移されました。
そうです。冒頭の言葉はそのとき実際に言われたことです。
俳優活動をしていると、結構このテーブルマナーを知らずに恥ずかしい思いをすることがあります。
特に駆け出しのころは、エキストラに近いその他大勢の中の1人というような役が多くなりますが、意外にも、ホテルで食事をしているお客さんの1人とか、結婚式だとか、食事をするシーンに遭遇することが割と多いです。
僕は過去に、主役の友達役という駆け出しの俳優にとっては大きなチャンスとなる役を頂いたのですが、そのときに高級ホテルで会食するシーンがあったんです。
僕たちは一流企業に勤めるエリートという設定だったんですが、当時の僕はテーブルマナーをほとんど知りませんでした。
というよりも、「一流企業に勤めているエリート=テーブルマナーは当然知っている」という認識すら持たないまま現場に行ってしまったんですね。
完全にアウトです。
その役を演じるにあたって、どういう立場の人物であるか、また、その人の生活環境などを考えておかなければいけなかったんですよね。
そういう高級な場で食事をする機会が多い生活環境で生きている人だということは、ちゃんと考えていればわかることだったと今ならわかります。
でも、そもそもが一流企業に勤めているエリートの人の生活がどんな生活なのかも知らない。
知らないままでその役を演じようとしていることが、第一の間違いでした。
そりゃ、勉強してこいよ!と、なりますよね????
一応、そのときもテーブルマナーについては調べていったんですが、脚本をもらったのが撮影日の3日前だったので、付け焼刃でした。
食事しながらセリフを話すわけですが、テーブルマナーがしっかりと身についていないので自然な演技ができなかったんです。
そうしたら、そのセリフを違う人に割り振られまして、テーブルマナーができていないことがわかりにくいように席の配置も変えられてしまいました。
そういうことって結構あるんです。
他にも、撮影で食事のシーンは結構多いので、最低限のマナーやエチケットは知っておいた方がいいですよ。
役を演じきれるくらいの最低限のマナーは知っておこう
僕は、セリフを外され、座り位置もカメラフレームの外に移されたときに、唐沢寿明さんの「ふたり」という本を思い出しました。
当時、その本を読んでからそんなに時間が経っていなかったんですが、その本の中に書いてあったんですよ。
唐沢さんがまだまだ駆け出しのころ、橋爪功さんの奥さん(当時)が社長をされていた事務所に入ったときに、「とにかく世間を知れ。良いものをたくさん見て、良いものを食べて、自分自身の感性を高めろ」というようなことを言われ、いろんなところに連れて行ってもらい、たくさんの経験をさせてもらったという風に書いてあったんです。
それを読んですごく納得していたから、そこで僕も一度でもテーブルマナーが必要な高級ホテルで食事する経験を積んでおけばよかったのに・・・と反省しました。
読んだ瞬間はそうだなと思っていたのに、今すぐの必要性に迫られていなかったから「また今度…」となってしまっていたんですよね????
もし、この本を読んでいない人がいれば、一度は読んでみるといいですよ。俳優を目指している人なら、確実に奮い立たされる本です。
高校の副読本にも採用されたような本なので図書館などにも必ずあると思いますので、図書館で借りるのもいいと思いますので、是非借りて読んでみてください。
さて、話は戻りまして、俳優を目指すうえでテーブルマナーなんて関係ないと思っている人もいるかもしれませんが、そんな1つのことでもチャンスを潰してしまう原因になったりするので、基本のテーブルマナーだけでも身につけておきましょう。
基本のテーブルマナー
テーブルマナーと言っても、和食や洋食、中華料理などで少しずつ違いがあったりしますが、今回は洋食のマナーについて書きますね。
服装にだってマナーがあるんです。
それを知っているだけでも、撮影で着る服のチョイスも違ってきます。
服装のマナー
- まず第一に、そのお店や場にふさわしい服装を心がけること(ドレスコードを確認※)
- アクセサリーや貴金属の装飾品はほどほど(上品)に。
- 過度な香水も気をつける。
- バッグは小さめのものをチョイス。最大でもA4サイズくらいまで。
- サンダルやミュール、スニーカー、ブーツは避ける。
- スカートの丈は、膝が隠れるものが良い。
- スカートの場合は、ストッキング必須。生足はNG。
お店についてから着席までのマナー
- 途中で席を外すことを避けるためにもトイレは席につく前に済ませておく。
- コートや大きな荷物は、入り口で預ける。
- 席につく際は、椅子の左側から座り、立つ時も左側から立つようにする。
- バッグは椅子にはかけず、腰の左脇(椅子の上)に置くのがベスト。
- 椅子は深めに座り、猫背になるのに気をつけて背筋を伸ばして座る。
テーブルセッティングの基本
まず、実際のテーブルセッティングの雰囲気を見てください。
実は令和初日の本日も結婚式に参列してます(*´ω`*)また料理ツイートしていこうかな(笑) pic.twitter.com/m8JmDqczyg
— クール (@Cool_Astraea) May 1, 2019
いっしょにランチしたひとと、カトラリーを次々と使い捨てていく洋食マナーとどんどん駒が減っていくチェスとの共通点には何か西欧文化を語る上での本質的特徴が見られるのではないかという深淵な話をしました。 pic.twitter.com/gBTCNhJfyd
— heechulju (@hee_verm) March 11, 2018
いかがですか?
もしも撮影現場でこのような食事のシーンがあったとして上手く使いこなせそうですか?
テーブルマナーにおいて、「カトラリー」という言葉が出てきますが、食卓用のナイフ、スプーン、フォークなどの総称なので覚えておくといいですよ。
そして、まず何よりも覚えておきたいのが、ズラッと並べられたカトラリーのそれぞれの用途ですね。
メニューの内容によって多少の違いはありますが、だいたい以下の画像のような用途になります。
基本的な料理の順番
出てくる料理の順番も内容によって変則的な場合もありますが、基本的な順番は以下のような感じになります。
前菜(前菜は2皿の場合もアリ)
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スープ
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魚介のメイン料理
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ソルベ(口直しのシャーベットがある場合も)
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肉のメイン料理
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デザート
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コーヒー
ナイフやフォークの使い方マナー
※ナイフやフォーク、スプーンの総称として「カトラリー」と呼びます。
- カトラリーは外側から順番に使う。
- もし、床にカトラリーを落としてしまったときは、自分で拾わないようにする。
- 万が一、間違えて違った料理に使ってしまった場合も、お店の人にそれを伝えればすぐに新しく持ってきてくれるので心配いりません。
- 会話の途中に、カトラリーを手にしたまま身振り手振りをしない。これはマナー違反です。ナイフの刃を人に向けてしまう恐れもあるので注意しましょう。
- 食事中にカトラリーを置く場合(まだ食べるとき)は、ナイフとフォークを八の字に置く。
- ナイフの刃はお皿の内向きに置き、フォークは裏返して背を上にして置く。
- 食事が終わってカトラリーを置く場合は、お皿の右側にナイフとフォークを揃えて置く。
- このときもナイフの刃の向きはお皿の内側に向けて、フォークも裏返して背を上にする(食べきれないときもこのように置くことで「もう食べない」という合図となる)
ナプキンについてのマナー
- ナプキンは着席してすぐに広げずに、目上の人などがいる場合や主賓の人がいる場合は、その人よりも後に広げるようにする。料理が運ばれてきたタイミングで広げるのが無難。
- 広げるときは、ナプキンを2つに折って、折り目が自分の体側になるようにして膝の上にかける。
- 口や指などの汚れは自分のハンカチやティッシュでは拭かず、ナプキンで拭く。(ナプキンを使わず自分のハンカチなどを使うと「ナプキンが汚れていて使えない」というような意味になります)
- 汚れた口や指をナプキンで拭くときは、ナプキンの内側の面で拭く。(汚れた部分が隠れ人目につかない)
- テーブルに何かをこぼして汚してしまった場合などにナプキンで拭くのはNG(速やかに手を挙げるなどしてお店の人を呼ぶ※声は出さない)
- 食事中に席を立つ場合には、ナプキンは軽くたたんで(もしくは、たたまない)椅子の上に置く。(できるだけ食事の途中で席を立たないようにするのがベスト)
- 食事が終わったときはナプキンを軽くたたんで(もしくは、たたまない)でテーブルの上に置く。
- ナプキンをきれいに畳んでしまうと「料理がおいしくなかった」とか「料理や店員のサービスに不満がある」というような意味になるので、きれいには畳まない。
席を離れるときのマナー
- 食事中に席を立つ場合には、ナプキンは軽くたたんで(もしくは、たたまない)椅子の上に置く。(できるだけ食事の途中で席を立たないようにするのがベスト)
- やむを得ず食事の途中に席を離れるのであれば、デザートの段階に入ってからがベター。
食べ物や飲み物についてのマナー
- 食前酒(アペリティフ)は必ずしも注文しなければいけないわけではない。
- グラスが空になったときは、速やかに黙って軽く手をあげるか、お店の人と目を合わせたときに軽くグラスを持ち上げるなどして伝えます。(声を出してお店の人を呼んだり、また、同席者の空のグラスなどにワインを注いであげたりするのはNGです)
- ビールなどは、グラスの中が少なくなったからといって注ぎ足さず、飲み干してから。
- スープなどをすくうときは手前から奥に向かってスプーンを動かす(持ち手のついたカップはそのまま飲んでOK)
- カップなどを両手で持つのはタブー。(冷めていて美味しくないという意味になる)
※ここでは簡単な基本しかお伝えしていませんので、各料理の細かいマナーや食べ方については以下のサイトなどがわかりやすくて参考になると思いますよ。
食後のマナー
- 食事が終わったときはナプキンを軽くたたんで(もしく、たたまない)でテーブルの上に置く。
- 食事が終わったら、お皿の右側にナイフとフォークを揃えて置く。
テーブルマナーにおいてのNGやタブー
- 食事中にスマホをいじるのはNG。
- 場に慣れていないとついつい自分のエリア以外のお皿やグラスを使ってしまう人がいますが、それはNGです。
- 基本的に音を立てるのはNG。カトラリーでガチャガチャと音を立てたり、すするときに音を出して飲んだりするそしゃく音にも注意する。
- 食べるスピードは、相手の食べる早さに合わせるのがベスト。
- 会話中にカトラリーを持ったままゼスチャーをしたり、ナプキンで口を拭いたり、グラスを持ったりするのはすべてタブーです(ナイフの刃を人に向けてしまう恐れなどもあるので要注意)
- カトラリーを床に落としてしまった場合に自分で拾うのもNG(静かに手を挙げるなどしてお店の人に伝えれば速やかに新しいものを持ってきてくれます)
- 食事中にお互いの料理をシェアしたり食べさせあったりするのもNG。
- 食事の途中でやむを得ず席を離れる場合、ナプキンをテーブルに置くのはNG(椅子に置く)
- 食事の途中で髪の毛を触らない。人に不快感を与えると同時に不衛生。
- 料理などをたくさん口につめすぎない。
- 会話の内容にも注意が必要。下ネタなどは完全NGですし、人の悪口や陰口などのネガティブニュースもタブー(楽しく食事をすることを心がけて明るい話題を)
まとめ
テーブルマナーを身につけるのは、こうして文章で読んだり、話を聞くだけよりも、実際にそういう場で食事してみるのが一番早いです。
むしろ、実際に体験してみないとなかなか身にはつきません。
もしも居酒屋さんなどへ飲みに行く機会が多いなら、その機会を数回減らして、時々はテーブルマナーが必要になるようなお店で食事することを強くおすすめします。
俳優にとって、そうした経験はプラスにしかなりませんが、未経験は確実にマイナスになります。
感情や心情を表現することができても、動きの表現がまったできないとなれば俳優としての価値がなくなってしまいます。
とはいえ、そう気軽に体験できるものでもないので、急にテーブルマナーを要する撮影などが入ってきてしまったときのために、1冊くらいマナー本を持っておくのもアリです。
そうすれば現場でも、わからないことがあればすぐ確認することができます。
家の近くに図書館があれば無料で学ぶことだってできますので、まずは図書館に行ってみましょう。
撮影現場では、知らない恥ずかしさよりも、できない恥ずかしさの方が致命的ですからね。
おすすめのテーブルマナー本 日本ホテル教育センターやJALアカデミーなど、おもてなしの最高峰が教えてくれるテーブルマナーを身につけておけばどんな撮影が入っても怖いものなしです????
アマゾンのテーブルマナー本のランキングで1位の渡邊忠司さんの本もイラストが多く、読みやすい本でおすすめです。