「プロの俳優なんてなれるわけないよ」
あなたの周りには、そんな事を言う人も少なくないかもしれません。
もしくは、あなた自身がそんな風に思ってしまうときがあるかもしれません。
たしかに、誰もが簡単に仕事に出来るような業界ではありませんが、俳優を仕事にできない人には「思考」や「行動」に原因がある場合が多いので、今回の記事では、見落としがちな原因と対策についてまとめてみました。
■俳優を仕事にできない人に多い原因と対策
原因:仕事になる可能性の低いジャンルだけで活動している
極小規模のジャンルだけで活動している。
たとえば、客席数が100席もないような小劇場など。
小規模であっても素敵な劇団や作品もたくさんあり、もちろん素晴らしい俳優もいるので、そこから見出されて有名になれる可能性もありますが、露出自体が少ないので極めて低い可能性になります。
市場自体が小さ過ぎると、当然ですが、幅広いお客さんに自分の存在を知ってもらう機会は少なくなるので、仕事に繋がりにくいのは必然です。
たしかに自分を知ってもらってこそ、だもんね…
小規模のジャンルで活動しながらも、他にもオーディションを受けるなど積極的にチャンスにトライしましょう。
原因:本気で取り組めていない(本気のつもり)
「あっちの劇団がいいかな‥」「こっちの事務所がいいらしいよ」など、良さそうな情報にすぐに流される人がいます。
ワークショップやレッスンなどでメソッドや技術を学んでも、一つの事を突き詰める前にすぐに別の方法論を試す人など、中途半端に取り組んでばかりでは仕事に繋がりにくいのは当然です。
演技は、「1+1=2」のように答えは一つではありませんし、最終的には自分でオリジナルの答えを生み出すものです。
一つ覚えたら、自分の中に落とし込んで消化できるところまで突き詰めて取り組んでみましょう。
原因:観客・視聴者のことをあまり考えていない
ついつい作り手や演者というのは、自分がやりたいことばかりが先行してしまい、自己中心的になってしまいがちです。
でも、どんな仕事でも「価値を提供した対価」としてお金が支払われます。
つまり、仕事にできないということは「価値を感じてもらえていない」「満たせていない」ということになります。
舞台でも映画でも、お客さんは観終わった後に当然スッキリ気持ちよくお金を支払いたいものです。
なので、常に「本当にこの作品(または演技)で視聴者や観客を満たすことができるか?」「お金をいただく価値があるか?」と、観客目線で考えるようにしておきましょう。
原因:最低限のスキルが身についていない
極端なことを言えば、セリフを覚えて間違えずに話せれば、高度なスキルが無くても舞台や映像作品に出演することはできます。
ただし、それを仕事として出演料を頂くのであれば、最低限の技術やスキルは当然必要です。
俳優業界は入り口のハードルが低い事もあって、割と簡単に誰でも俳優を目指すことはできますが、肝心なのは「自分の演技で人の心を打つ事ができるか」「人の心を動かす事ができるか」が一番重要です。
セリフを覚えるだけでなく、明確な課題や目的をもってスキルアップしましょう。
「プロ」と言えるだけのスキルを身につけないとな…
原因:存在を知られていない
俳優を目指しはじめたばかりだと、自分の存在を知っている人は少なくて当然ですね。
なので、少しずつでも存在を知ってもらうためのアクションを起こしていくことが必須です。
先述した通り、あまりにも小規模のジャンルだけで活動していると、一般的に幅広く知ってもらうのは難しいですよね。
あなたにどれだけ魅力があっても、技術があっても、知ってもらえなければ宝の持ち腐れで、活動自体が無意味になってしまいます。
全国配信の映画オーディションを受けるとか、商業的な舞台のオーディションを受けるなど、更に大きな市場に積極的に出ていく事を考えて行動していきましょう。
原因:俳優として「売れる」事しか考えていない
積極的に行動を起こすのは大事ですが、売れたいという気持ちが強すぎてグイグイ押すだけの人がいます。
あまりにも自分の売り込みだけに終始していると、人は逃げたくなります。
これは意外と「売れたい意欲の強い人」によく見られる傾向なので気をつけましょう。
自分ばかりが求めるのではなく、相手に「求められる」ようにならないと、仕事にはなりません。
求められる価値の提供・そして信頼構築が何より大事です。
原因:良い作品を選定できていない
作品(脚本)の内容が酷い。など、誰もそれを観て喜ばないものを選んでいる場合です。
芸能事務所に所属している場合などは、出演する作品を選ぶことはできないかもしれませんが、「本当にこの作品は客観的に観て、誰かの心を満たしたり、感動させたり、意味があるものなのか、需要のあるものなのか」シンプルに考えてみましょう。
誰も喜べない、または楽しめない作品に出演しても、反対に評価を落とす原因にもなるかもしれないので出演できれば何でもいいという考え方は注意です。
まずは、あなた自身が本当に良いと思える作品か?という部分がとても大事だと思います。
たしかに自分が良いと思えるものじゃないと人に勧めにくいですよね。
原因:アウトプットだけになっている
俳優は日々の積み重ねが必須で、インプット(勉強)する時間も非常に大事です。
撮影現場や舞台の本番などはもちろん、舞台の稽古などもすべてアウトプットです。
現場で学ぶことが一番勉強になり、身につきやすいですが、現場は勉強や練習の場ではなく、日々磨き上げてきたものを披露する実行・実践の場です。
仕事にできていない俳優には、アウトプットにばかり偏りすぎている人が多いです。
つまり、日頃の勉強と練習不足。
俳優としてのスキルアップのための日々の修練が足りているか、しっかり考えてみましょう。
原因:お芝居や演技を仕事(ビジネス)だと理解していない
当たり前のことではありますが、俳優として収入を得るという事は「仕事」であり、お客さん、または主催者や制作会社などお金を支払う人がいて、得る人がいる経済活動でもあります。
つまり、お金を支払う人が気持ちよくお金を支払おうと思えるだけの価値を提供してこそ、初めて収入を得られるという、仕事として当たり前のビジネス構造を理解しておく必要があります。
こちらから与えもしないで「ちょうだいちょうだい」になっていないか、常に注意しておきましょう。
たしかに…先に与える…か…
原因:基準値が低すぎる
少しの努力だけで、大きな成果を期待する人が多い
俳優業界への入り口の門は広いので意外と誰でも入れますが、「自分の職業」と言えるまでになれる人は究極に少ない業界です。
簡単に大きな成果を求めてしまう前に、まず、一般的な社会人と一度比較してみましょう。
自分が俳優という仕事に対して費やしている毎日の仕事量や勉強量は、企業に勤めている人が毎日こなしている仕事量に勝っているでしょうか?
もちろん、量だけで比較すればよいというものではありませんが、高い基準で取り組むためにも視野を広く持っておくことは大事だと思います。
どんな仕事をしている人も、1日の大半の時間を仕事に使い、努力しています。
それに負けないくらい、勉強や努力をする意識を持って取り組みましょう。
原因:俳優を仕事にできない理由を自分以外のせいにしている
俳優を仕事にできない人に多いのが、
「うちの事務所弱いから」
「全然オーディションもないし‥」
「映像のオーディションなんてイメージだから…」
事務所や環境など、自分以外の何かのせいにしている人です。
弱いと思いながらそこに在籍しているのは自分の判断ですし、事務所からのオーディションがなければ自分で探して、事務所に「受けていいですか?」と自ら行動を起こしていくこともできます。
「道は自分で切り開く」というつもりで取り組みましょう。
原因:やれるだけの事をやっていない
自らオーディション情報をチェックして積極的に受けるでもなく、知り合いの劇団や団体など同じような小さい輪の中だけで舞台に立っている人や、芸能事務所に所属したあとは事務所任せになってしまう人も多いです。
事務所の方針があって自分勝手には動けなくても、自分で考え自分で発信し行動を起こす事はできると思います。
サポートはしてくれますが、事務所があなたの俳優人生を保証してくれるわけではありません。
あなたの人生は、あなた自身に主導権があります。
自分自身でどうしたいのかを考え、自分自身の意思や考えを自ら発信し、自分自身で行動を起こすことを意識していきましょう。
常に「もっとやれることはないか」と問いかけながら、「やりきった」と言えるところまでやりましょう。
■まとめ|俳優は一番チャンスが多いのに、なぜ売れない?
芸能界の中でも俳優は一番チャンスが多いです。
なぜなら、良いか悪いかは別としてお芝居の世界の入り口の門はとても広いからです。
誰でもやろうと思えば、ステージに立つことは意外と簡単にすぐにでもできます。
ミュージシャンや演奏家であれば楽器が弾けることが大前提なので、その技術を磨く時間など、ステージに立つまでに費やす時間は相当なものですよね。
ダンサーも同じで、ちょっと練習したくらいで踊れるものではありませんし、ジャンルによっては体の柔軟性が大事になるので、毎日毎日、長年のストレッチが必須です。
マジシャンだって、テクニックを磨くのに費やす時間は相当なものです。
芸能の世界でなくても、美容師の新人さんだって一人のお客さんのカットを任せてもらえるまでの勉強と実践練習は、相当な日数を要します。
お寿司屋さんだって、握りを任せてもらえるようになるまでには相当の修行期間が必要です。
た、たしかに・・・????
どの業界でも表舞台に立つまでの期間は相当長く、大変なものです。
でも、俳優の場合は小規模の舞台などを選べばすぐにでも出演することも可能です。
実際に、何の訓練やレッスンも受けないまま「初舞台」を迎える人も中にはいます。
そのくらい最初のハードルは低く、チャンスはゴロゴロ転がっているわけですね。
なのに、ほとんどの人が自分の職業にできないまま辞めていきます。
入り口はハードルが低くても「目的地」はものすごく高いところにあるということを理解して、自分自身を高めていきましょう。