コロナショックにより舞台公演の中止などが相次ぎ劇場も軒並み休館に追い込まれました。
そんな中で演劇活動のスタイルも大きく変動を見せています。
まず一番の変化は演劇のライブ配信が急増していることでしょう。
この自粛期間中に本当に増えましたね!
どのような状況の中でもお芝居のエネルギーを届けようと、中にはライブ配信アプリを利用して自宅から一人芝居を配信する俳優もいました。
そうした活動は今後ますます増えることでしょう。
そこで、演劇のライブ配信ができるアプリとサイトをご紹介します。
■これから更に増える演劇のライブ配信
俳優の近藤芳正さんが発起人となって5月6日にライブ配信された三谷幸喜さんの傑作戯曲「12人の優しい日本人を読む会」などは15,000人以上の人がライブで視聴したことでも話題になりました。
そして4月7日から休館していた本多劇場も営業を再開するにあたり「DISTANCE」という企画を立ち上げ6月1日(月)~7日(日)に、一人芝居の無観客ライブ配信公演を行いました。
また、俳優の柄本明さんも6月5、6日に浅草のオンライン型演劇場「浅草九劇」から一人芝居をライブ配信されました。
今後は劇場での観劇だけでなく演劇のライブ配信、オンライン配信という1つの形も盛んに取り入れられていくことでしょう。
すでに多くの演劇がライブ配信されており、舞台関係のライブ配信/期間限定配信情報を発信してくれている「おけぴオンライン番組表」では、全国でオンライン配信されているさまざまな演劇の情報を見ることができます。
■演劇をライブ配信するメリットとデメリット
演劇の可能性を高めてくれるライブ配信ですが、演者や視聴者にとってそれぞれメリット・デメリットがあります。
・演者にとってのメリット
- ライブ配信だと全国のお客様に同時に観てもらうことができる
- 当日の受付スタッフなどの人件費やその他のコストの削減につながる
- 劇場でなく自宅からでも配信できる。特に一人芝居などであれば企画やアイデア次第では場所を選ばずどこからでも配信できる
・演者にとってのデメリット
- 生の臨場感や躍動感、緊張感が伝わりにくい
- ネット回線や機材のアクシデントでフリーズしたり遅延したりする場合がある
- つまりお客さんの集中力が途切れやすい
- 内容が面白くなければお客さんはいつでも観るのをやめることができる
- 上記のようなさまざまな理由から離脱率が高い
・視聴者にとってのメリット
- 劇場でのチケットやライブビューイングが完売していても、ライブ配信なら売り切れの心配がない
- ネット回線に繋がったパソコンやスマホがあれば場所を選ばずどこでも観れるので、行きたくても遠くて行けなかった公演も自由に観ることができる
- 劇場までの交通費や移動時間など移動コストの削減につながる
- カメラワークによるが、もっと近くで観たかった表情がアップで観れる
- 劇場で観劇するよりも少しチケット代が安い。(その分をグッズ購入などに回せる)
・視聴者にとってのデメリット
- 劇場での観劇と同じだけの臨場感や躍動感、緊張感は感じられない
- 劇場で観劇している時と同じような他のお客さんとの一体感やその場の空気感を感じることはできない
- ネット回線や機材のアクシデントでフリーズしたり遅延したりする場合がある(ネット回線が安定した場所での視聴を心がけたい)
■演劇配信におすすめのライブ配信アプリ&サイト7選
お芝居の動画配信をするのにおすすめのライブ配信アプリやサイトをご紹介します。
・Pococha(ポコチャ)
「Pococha」は、2017年にDeNAが運営を開始したライブ配信アプリです。
ポコチャでは俳優を応援する企画として特別オーディションに参加できるイベントが組まれることがあったり、舞台系の俳優が一人芝居などを配信していたり、エンターテイメントに積極的なライブ配信アプリです。
「Pococha 一人芝居」と検索すればいろいろ出てくるので、時間があれば見てみてください。
・17live(イチナナライブ)
17live(イチナナライブ)は2015年に台湾でスタートしたライブ配信アプリです。
イチナナライバーという言葉が生まれるほど、有名な人気ライバーがたくさんいます。
世界9ヶ国に展開し全世界で4000万人以上が登録しており、世界中の人たちとつながることができるので人気です。
お芝居を配信している演劇人や俳優も多数います。
・SHOWROOM(ショールーム)
SHOWROOM(ショールーム)は、SHOWROOM株式会社が運営するライブ配信アプリです。
利用者は30代~40代よりも10代~20代と若い人が多めです。
モデル出演オーディションなど、特に芸能系のイベントが多く、SHOWROOMから芸能人が生まれると言われるほど人気者になる人も多いです。
俳優活動をしている人にも利用者が多く、お芝居のライブ配信をしている人もいます。
●配信している俳優の例
土井良祐
俳優土井良祐のまったりすぎる~む
・linelive(ラインライブ)
誰でも無料でライブ配信ができる「LINE LIVE」
いまやLINEユーザーの数は言うまでもありませんよね。
コロナの影響で閉鎖されていた演劇の聖地である下北沢の本多劇場も、緊急事態宣言解除後に三密回避シチュエーションオムニバス舞台『デジタル本多劇場』を「LINE LIVE」にてライブ配信しました。
個人で一人芝居を配信している人もいますし劇団のアカウントなどもあります。
また、舞台のアーカイブ配信などもあります。
・インスタグラム
インスタ映えという言葉が古く感じるほど誰もが知るところとなったインスタグラムはFacebook, Incが運営している写真や動画の投稿に特化したSNSです。
世界中で10憶人以上のユーザーが利用しています。
芸能人(俳優)でも利用者が多いですよね。
そして既に芝居のライブ配信をしている人もチラホラいます。
劇団山の手事情社さんなどはストレッチや滑舌練習のライブ配信を行ったりしています。
コロナで自粛期間中にも俳優の磯村勇斗さんなどが芝居のライブ配信を行って話題になったりしていました。
・DMM.com
「舞台」という専門カテゴリーがあって「刀剣乱舞」などの話題のアニメ、ゲームを舞台化した2.5次元作品などをたくさん配信しており、劇場からリアルタイムで行われるライブ配信や人気舞台のアーカイブ配信なども多数あります。
「舞台配信ガイド」などもあり、舞台を配信する側にとっても視聴する側にとってもシステムがしっかり出来上がっています。
自宅から個人で一人芝居などを配信するのであればライブ配信アプリでもいいですが、劇団など団体でアーカイブ(録画)配信する際や舞台公演を生配信する場合はこうした動画配信サイトを利用します。
・dTV
DMM.comと同じく動画配信サービスで、株式会社NTTドコモが提供しています。
舞台の配信も活発で専門カテゴリーやランキングもあります。
■その他のライブ配信アプリ
・MixChannel(ミクチャ)
MixChannel(ミクチャ)は、株式会社Donutsが2013年12月に開始した動画投稿アプリです。
どちらかと言うと中高生などの若年層に人気で、特に人気のカテゴリーは「LOVE」で仲の良いカップル動画などが多いのが特徴です。
利用している演劇人などはいますが、お芝居を配信している俳優はほとんど見かけません。
・ふわっち
ふわっちは2015年にスタートしたライブ配信アプリです。
利用者の年齢層は高めで20代~40代が多いです。
ふわっちは「稼げるアプリ」として人気ですが、どちらかと言うと閉鎖的でアングラな雰囲気が印象的です。
・Live.Me(ライブミー)
2016年4月に開始されたアメリカ発祥のライブ配信アプリです。
世界中に1憶人以上のユーザーがいる大規模アプリですね。
アメリカ発祥ということもあり海外ユーザーも非常に多くグローバルな印象で、世界中の配信者の動画が見れます。
ただし、あまり演劇や芝居を配信している人は多くないです。
・Hakuna Live(ハクナライブ)
2019年に開始されたばかりのまだまだ新しいライブ配信アプリです。
特徴は、顔を出さずにライブ配信できるのでラジオ配信している人も多いことと、視聴者もライブ配信に参加できてしまうところです。
他のライブ配信アプリに比べるとまだまだ配信者も少ないので、今のうちに参入しておくとファンをつくりやすいかもしれません。
・BIGO LIVE
シンガポールのBIGO TECHNOLOGY PTE. LTD.という会社が運営しており、東南アジアを中心に世界的に広まっているライブ配信アプリです。
日本では比較的新しいアプリという認識ですが、世界的に見れば圧倒的なシェア率で2億人以上のユーザーがいます。
日本国内でも10代~20代の若者を中心に着々と知名度を上げてユーザー数が増えてきています。
【TVCM】「BIGO LIVE ~日本中のみんなと編~」
・トークライバー
2018年に開始されたライブ配信アプリです。
自分から視聴者探しができて、なおかつ1対1でも会話ができるという新しい形のライブ配信アプリです。
そしてライバー(配信者)は女性のみというのも特徴的で、さらにはライバーは無料登録できますがリスナー(視聴者)は基本的に全員が有料登録となっています。
圧倒的に高い報酬で「稼げるアプリ」としても注目されていますが、料金を支払ってまで登録している人ばかりなので、退会になるような行いをするようなユーザーはほとんどおらず「マナー」が良い印象です。
ただし、視聴者に有料登録してもらう必要があるので演劇や(一人)芝居などを配信するには敷居が高いかもしれません。
・ツイキャス
ツイキャスは2010年開始されたTwitterと連携するライブ配信サービスです。
Twitterユーザーの俳優も多いためツイキャスを利用する人も多いですが、ライブ配信は原則30分という区切りがあるため、短い一人芝居などなら向いているかもしれません。
長い芝居を配信するのであればアイテムが必要になります。
また、配信した時間と視聴者数に応じてレベルが上がっていき、使用できる配信モードが増えるなどの特典があります。
・YouTube Live
Youtubeでは、撮影して編集した動画をアップロードできるのはもちろん、生配信(ライブ配信)することも可能です。
それが「YouTube Live」になります。
他のライブ配信アプリでは登録しないと視聴できないものもありますが、Youtubeは登録しないでも誰でも自由に視聴できるのが強みですね。
※ただしYoutubeでライブ配信するには事前にアカウント認証しておく必要がありますし、パソコンからのライブ配信ではカメラとマイクの他に配信ソフトが必要です。
・ニコニコ生放送
動画配信の先駆けといった存在のニコ生はコアでアツいユーザーがいる動画配信サービスです。
2.5次元舞台や俳優に関する最新情報も発信する「2.5次元やっぱニコメン」などもあり、俳優や劇団などの公式チャンネルも多いです。
・Facebook Live
Facebook Liveは、Facebook上にライブ配信できる動画配信サービスです。
Facebookにはビジネス(ページ)ユーザーも多いため、舞台やお芝居のライブ配信をしている人よりも、商品・サービスなどに対するイベントや企業PRにライブ配信を活用している人が多い印象です。
■演劇をライブ配信するアプリとサイトのまとめ
今回は演劇をライブ配信するためのアプリやサイトをご紹介しました。
緊急事態宣言後の今、個人でも団体でも本当に演劇のライブ配信が急増しています。
今後もきっと、ますます増えますよね。
間違いなく増えると思います。ぜひ積極的に取り組んでいきたいですね。