こんにちは????
売れていない俳優に多い特徴として、「欲張りすぎる」というのがあります。
これは僕自身も過去を振り返ると、完全にこのタイプでした。
ちゃんと出演料のもらえる商業舞台などに出演しても、セリフがひと言ふた言だと「もっとセリフが欲しい」と言い、セリフがたくさんある主要キャストで出演する舞台でも、出演料が少ないと「もっと出演料が欲しい」と言う。
もちろん、自分自身の理想像に向かっていくことは大事なことです。
出演料でも、役の重要度でも、知名度でも、更なる高みを目指すことは絶対的に必要な要素です。
でも、全部一気に求めすぎると全てが中途半端になる傾向があります。
では、売れる俳優に多い傾向とはどんなものか?を、実例を交えながら解説します。
売れる俳優は目的がハッキリしている
- お金が稼ぎたい
- 有名になりたい
- お芝居がやりたい
あなたが俳優を目指す目的を大きく分けると、どれになりますか?
お金が稼げるなら、知名度は低くてもいいし、やりたい作品(芝居)に出られなくてもいい?
有名になれるなら、出演料はなくてもいいし、やりたい作品(芝居)に出られなくてもいい?
やりたい作品(芝居)ができるなら、出演料はなくてもいいし、知名度は低くてもいい?
結論から言うと、この3つの中で、目的はどれでもいいです。
どの目的が「売れやすい」ということではなく、どの目的であっても《極める》《突き抜ける》ということの方が大事になります。
1つ実例をあげると、養成所時代からの仲間に今では有名な脚本家になった仲間がいます。
最初に入った劇団も、芸能事務所も同じでした。
でも彼は、その芸能事務所をすぐに辞めてしまいました。
理由は「芝居を通してやりたい事が明確だったから」です。
彼は、自分が何のために芝居をやりたいのか、芝居を通して人に何を伝えたいのか、という目的を明確に持っていました。
その目的に沿う活動ができないなら、事務所に所属していても意味がないというのが当時の彼の判断でした。
彼は自分で劇団を立ち上げ、脚本を書いて演出をしながら、細々と活動を続けていきました。
そして、自分が伝えたいテーマと想いを自分の作品に込めて作りつづけた結果、その作品が話題になり、仕事としてオファーが来るようになって必然的に職業になりました。
お金でもなく、有名になりたいとかそういう知名度でもなく、ただ自分の「芝居に対する想い」「芝居を通して伝えたい自分の想い」を貫き通した結果、自然と売れたわけです。
「貫き通すこと」
「突き抜けること」
「極めること」
1つに絞る必要はない。優先順位をつけるだけ
目的は、たった1つでないといけないということはありません。
お金も、知名度も、やりたいお芝居も全て追い求ればいいと思います。
ただ、まず優先順位だけは決めましょう。
その優先順位に従って選択しなければいけない瞬間が必ず訪れるからです。
それも何度もあると思います。
商業舞台の座組みにいた頃、稽古と全国さまざまな場所での公演とで年間の7~8ヶ月間は舞台漬けの日々を過ごしていたわけですが、それで1年間なんとなく最低限の生活をするだけの報酬はいただけていました。※人によって出演料などは大幅に違います
見方によっては、俳優として食べられている状態なわけですが、でも、時にはセリフがたったひと言ふた言ということがありました。
稽古期間を抜いて、単純な公演期間だけで言っても年間だいたい5~6ヶ月、そのひと言ふた言だけで毎日舞台に立つわけです。
僕の失敗談(?)としては、食べられてはいるけど、演じている実感のないそのような状況に耐えられず、商業舞台から離れたということです。
同じような状況の中で頑張って続けて、今では商業舞台の中で1つの役を任されるようになっている俳優もいます。
どっちが正解というわけではないんですが、ここで重要なのは、自分の中で何を優先するのか優先順位をハッキリもっておくことは大事です。
俳優としてのやりがい、または充実感と、報酬などとのバランスが見合わないとき、あなたならどっちを優先しますか?
セリフはひと言しかなくても、1年間生活していけるだけの報酬がもらえるなら、そのひと言だけでも年間の5~6ヶ月間は毎日舞台に立ち続けるか、それとも自分の俳優としての経験の蓄積や成長を求め、新天地を目指すか。
長く俳優活動をしていると、そうした秤にかける選択の瞬間が、必ず出てきます。
そのときの選択が、その後の未来を大きく変えることは言うまでもありません。
どちらの選択が正解ということは言えないと思いますが、どちらが信念を持って選択できるか、また、あとから振り返ったときに絶対に後悔しないと言えるか、これは自分の中でとても大事なことだと思います。
優先順位に従って選択するだけで思い通りになる
もう1つ、30歳になってから売れた後輩俳優の実例を紹介します。
※売れたというのは、俳優業だけで生計が立てられる状態を指しています。
よく一緒に舞台で共演した後輩の話なんですが、彼は本当は映画やドラマ、つまり映像で活躍したいと強く思っていたんです。
映像の仕事がないから舞台ばっかりやっているけど、実は映像がやりたい。
俳優を目指している人の中にはそういう人が結構多いです。
で、その後輩は自分の中での節目となる30歳を目前に、舞台活動をやめて映像業界に対してのアプローチに変えていくと言い出しました。
たぶん、それまでの自分の活動の仕方に迷いや悩みがあったんだと思います。
フリー(無所属)で活動していた彼は、自主映画など一般応募されているオーディションを受けたり、ワークショップ形式のオーディションを受けまくって、それまで舞台の稽古や本番など、舞台活動のために使っていた時間をすべて映像活動へシフトチェンジしました。
そして、それから2年後、彼が参加していた自主映画がある映画祭で賞を取り、ちょっとした話題になりました。
それが、彼が映像業界から少し注目されるきっかけとなりました。
そして、大手芸能事務所からもスカウトがあり、今ではさまざまな映画で活躍しています。
彼もまた、自分の中で一番欲しいものに的を絞って行動を起こしたことで、チャンスを掴みました。
そんな人ばっかりじゃないでしょ・・・
と思う人もいるかもしれません。
もちろん、自分が一番求めることだけに的を絞って行動したところで、何も変わらない人もいます。
でも、スタートラインには立てると思っています。
たしかに今回の記事で紹介した例はうまくいった人の例ですが、今まで、なんとなくやっていて売れた人を僕は見たことがありません。
なので、少なくとも僕の経験上の話ですが、自分の「一番」をハッキリさせることが、俳優として売れる可能性を大幅にアップすると感じています。
まとめ
今回、ここで紹介したような話は、ありきたりの話です。
でも、これから知り合う人をよく観察しておいてください。
頭でわかってはいても、本当に実践している人が少ないことがわかると思います。
たとえば、小さい小さい芸能事務所に入って売れる俳優の確率は、1%にも満たないほど低いということはなんとなく知っているかと思います。
その反面、大手の芸能事務所に入った方が、自分が俳優で売れる確率は大幅にアップすることも多くの人がわかっているんじゃないでしょうか。
でも、じゃあ大手の芸能事務所に直談判してでもオーディションを受けたことのある人がどれくらいいると思いますか?
自分自身で直接、扉をこじ開ける挑戦すらしたことがない人が多いことを知ると思います。
大手の芸能事務所に直談判しにいく度胸がないけど、何かに繋がるように活動はしておかないといけないと思うから、小さい芸能事務所に入ったり、小劇場などで舞台に立ってみたりしている人が多いです。
小さい芸能事務所や小劇場がよくないと言っているわけではありません。
そこが自分の目指している場所であったり、自分の目的に沿っていると自信を持って思えるのならいいと思います。
よくないのは、妥協案で今の状況を選んでしまうことです。
僕は自分自身を振り返ってみて、妥協案で歩んできたタイプだと思います。
今回の記事で紹介した、有名な脚本家になった仲間などは自分のほしいものに対して妥協しなかった人です。※小さい妥協はたくさんあると思いますが。
駆け出しの俳優で、芸能事務所に頼らず、自分自身の信念を信じて自分で道を切り開く選択ができる人ってそんなにいないと思います。
でも彼は、それをしました。
30歳手前で自分の一番ほしいものだけに照準を絞り直して、今までやってきた舞台活動を一切やめる決断を下した後輩。彼もまた同じです。
長年俳優活動をしている人ならなおさらわかると思いますが、なかなか勇気のいることだし、それを実行できる人って少ないです。
他の売れていった仲間たちを見ていても、やはり同じように、あまり人ができないような決断をどこかのタイミングでしている人が多いです。
なので、お金のためでも、知名度でのためでも、自分自身のやりたい芝居のためでもなんでもいいので、真っ直ぐ妥協せずに選択できる人は俳優としても個性的で強いんだと思います。
お金なのか?知名度なのか?やりたい芝居をやるためなのか?
一度、自分が一番欲しいものは何なのかをハッキリさせてみてください。
あなたの一番の想いが、これから先の選択の基準になり、未来を作ります。