俳優を目指し始めたばかりの初心者のうちは、演技の勉強がしたいと思ってもどうやって勉強をすればいいのかわかりませんよね。
もちろん養成所や芸能スクール、専門学校に通ったりしてレッスンを受けることはできますが、毎日あるわけではないですし通えない人もいると思うので、自分1人で過ごす時間にどうやって勉強するのか?
その勉強方法をご紹介します。
これは誰にでも簡単にできる方法ですし絶対にやっておくべき勉強なので、是非これからの生活の中で取り入れていってくださいね。
■演技の勉強がしたいと焦る前に
「これから俳優を目指すにあたってどうやって演技の勉強をしていけばいいですか?」という相談などもよくいただきます。
まず言っておきたいのは、演技力の身につけ方と絶対必要な10の要素という記事でも書いていますが、演技するために必要なのは「セリフを覚える能力」や「セリフをうまく言う」ようなテクニック面の勉強だけではありません。
もちろん「セリフの間の取り方」や「体の使い方」などでより効果的に感情を表現するテクニックというのはあります。
でもその前に、台本に書いてある文章から時代背景や状況、人物像、感情などさまざまな事を立体的にイメージする想像力も必要ですし、物語の意図や主張を読み解く能力「読解力」も必要です。
むしろそういった演技の土台となる部分の勉強をしっかりしないで、見せ方のテクニックだけを練習するというのはちょっと無理があります。
つまり勉強にも段階があるということですね。
■毎日できることをやっていますか?
今、あなたは何か俳優になるために毎日取り組んでいることがありますか?
ストレッチや筋トレなど自分の体を思い通りにコントロールするための訓練でもいいですしなんでもいいので何かは必ずやるようにしましょう。
とにかく俳優になるために「何もしなかった日」をなくすようにしましょう。
勉強にも段階があると言ったように「毎日継続して訓練することを習慣にする」というのは最初の第一段階です。
気が向いたときだけ俳優としてのトレーニングをするようでは、俳優を職業にするのは難しいでしょう。
■初心者でもいくらでも演技の勉強はできる
演技初心者が演技の勉強をしたいなら毎日必ずやるべきことを3つご紹介します。
それは、
- 本を読む
- 映画を観る
- 舞台を観る
この3つの中のどれか1つでもいいので必ず毎日やるようにしましょう。
それだけ?…
と思ったかもしれませんが、これが大事です。
- 台本を読んで具体的なイメージが膨らませられない人(想像力が乏しい)
- 明確な感情を感じ取れない人(感受性が乏しい)
- 物語の本質的な意図、主張が読み取れない人(読解力が乏しい)
まずは演技の土台となる上記のようなことを訓練しなければいけないということですね。
本を読むのも、ただ読むだけではなくて「演じるための読み方」が必要になってきますがそれは訓練しないでもできるほど簡単ではないです。
・本を読む
なので、1番は「本を読む」ことです。
それも小説などの物語になっている本を読みましょう。
とにかく「想像力を養う」「物語の意図・主張を感じ取る」などの「目的」をしっかり持って読むことです。
台本のように自分が誰かを演じるつもりで読むと面白いです。(自分が演じる役を変えて2回、3回と読んでみると感じ方が違ってさらに面白いですよ。)
これは養成所に通うお金がない人でも時間がない人でも誰にでも簡単にできる訓練です。
もし「なんだ、その程度のことか…」と思ったとしたら、危険信号です。
その程度のことすらできていない人の方が多いんです。
とにかく、家でも出先でも移動中でもどこでもできる訓練法なので必ず毎日やりましょう。
おすすめは映画化された原作などを読んで映画を観てみると、実際にそれを演じた俳優の演技が見れますし、「文字として書かれていたことがこんな風に立体的になるのか」と見比べることができる点です。
・映画を観る
映画を観るのもすごく良い演技の勉強になります。
すでに一線で活躍している俳優の中にも映画を観ることを日課にし、映画を観て学んだという俳優は多いです。
若手の実力派俳優として注目の福山翔大さんなども、
自分の中では「高校3年間で映画を1200本鑑賞できなかったら俳優になる素質はない」と決めていました。
と語っており、見事に目標を達成し俳優として活躍しています。
ただ映画が好きだから、とかそんな軽い理由で簡単に達成できたのではないということはこの言葉からも伝わってきます。
「僕の原動力は、夢に対する不安や危機感だったと思います。
『俺が福岡のド田舎でぼんやり過ごしている間に、東京にいる同世代の俳優たちは、すでに現場で活躍している』。
そう思うと、不安でしかたなかったんです。
さらに詳しい内容は以下の本人インタビュー記事を参考にしてください。
他にも大ベテランの船越英一郎さんも結婚するまでは、毎日必ず寝る前に映画を観ていたそうです。
なんと17~8年も継続していたそうです。
演じるっていうことを少なくとも生業にしてますので、「お前は俳優なんだよ」っていうことを言い聞かせながら1日を終わるっていうね…それぐらいは心がけられるかなと思ってやっていたんですけど…
記事引用元でも詳しく紹介されています。
演技にはいくつもの「答え」がありますが、映画の中にはその答えの中の1つがすでにあるわけですよね。
たしかに。そんなありがたい勉強材料ってないですよね。
そうですよね。
ただ、ここで1つポイントがあります。
なんとなく流し見するだけではなく、気になるシーンは何度も止めて観ることが大事です。
- この表情で何を見せたかったんだろう?
- なんでこの時、目線を外したんだろう?
- なんでこのタイミングで立ったんだろう?
- どうして腰じゃなくて肩を触ったんだろう?
という具合に一流の俳優の演技を分析することでいろんな気づきがあります。
まさに映画やドラマなどはヒントがたくさん隠された最大の勉強材料です。
気づいたことや発見したことはノートなどに書き留めておくと、これからあなたが演技をする中での参考書や辞書のように助けてくれるかもしれません。
今の時代は劇場に足を運ばなくても動画のオンライン配信で自由に観放題できるサービスもたくさんあり時間も場所も選ばずに勉強できるのでおすすめの勉強法です。
・舞台を観る
映画と同様に舞台もまったく同じで、最高の勉強材料です。
まさに人の演技の中にこそたくさんのヒントがあります。
ただ、映画など映像での演技と舞台での演技では表現方法や表出の仕方(表に出す大きさなど)が違うので映画とはまた違った気づきや発見があり、とても勉強になります。
今の時代は舞台だってオンラインで観ることができる時代になりました。
演劇動画配信サービス「観劇三昧」
■まとめ
タイトルには【初心者向け】と書きましたが本当は初心者だけでなく売れていない俳優は誰もがやった方がいいことです。
俳優を目指す者にとっては、たくさんの本を読んで「想像力を養う」「感受性を養う」「読解力を養う」ことも、映画や舞台を観て実際演じている俳優の表現の仕方を分析することも、趣味ではありません。
仕事に対する勉強であり研究です。
どのような業界でもおそらく全員がやっていることです。
サッカー選手は他のサッカー選手のプレーを見て分析し勉強しますし、音楽家(ミュージシャン)は他の人の演奏をたくさん聴きますし、ビジネスでも同業者の製品をしっかりチェックしますよね。
人がどんな工夫をしているのか?自分にも取り入れられることはないか?と。
きっとそうした探求心や向上心がなければどの業界でも職業にするのは難しいでしょう。
俳優にとっては台本を読むこと。そこからすべてがスタートします。
それが演技の土台となります。
本を読む力。
本を読んで想像する力。
本を読んで大事な要点をつかむ力。
本を読むだけでも「目的」さえ持って読めば多くのことが勉強になります。
そして、同業者を研究することも同じようにたくさんのことを勉強させてくれます。
演技初心者はまず本(物語)を読みましょう。そして演技を見ましょう。