こんにちは。
俳優を職業にするという大きな決断をされたあなたに大事な話をしたいと思います。
最初に言っておきますが、自分の演技でお金を稼ぎ、俳優を職業にするという人向けの記事なので、職業にはできなくても好きな演劇ができればいいと考えている人、好きな映画を自主制作できればそれでいいと思っている人などには、あまり当てはまらない記事になります。
でも、俳優を職業にしたいと思っている人には大きな意味のある内容になるのでぜひ参考にしてみてください。
■一流の俳優になりたいなら演技だけではダメ
世の中には、俳優として生活が成り立っていなくても俳優と名乗っている人はたくさんいます。
アルバイトで生活しながらチケットノルマなどを自己負担して舞台活動しているような人でも、SNSのプロフィールには「俳優」と記載している人もいたりします。
たしかに俳優として生計が立てられていない人の中にも、素晴らしい演技をする人がたくさんいるのも事実です。
でも残念ながら、ほとんどの場合は素晴らしい演技をするだけでは職業にはできません。
では、何が必要か?
それは、自分を売り込む能力です。
■演技は俳優のほんの一部
俳優と言えば、演技。演技力さえあれば売れる。そう考えている人は多いと思います。
でもたとえばオーディションでも、必ずしも演技が一番上手い人が受かるわけではありません。
もちろん、一番容姿のいい人が受かるわけでも、一番人間的に素晴らしい人が受かるわけでもありません。
一番受かりやすいのは、自分の魅力を正しく伝える能力のある人であり、優れたセルフプロモーションができる人、つまり自分を売り込む能力のある人です。
その以前に自分の魅力ってどこだろ…
あなたの魅力を深掘りするということにおいて、こんな例え話があります。
深さ10㎝の穴を掘るだけなら、表面だけ指でちょっと掘ればすぐ到達しますよね。
でも、深さ1mの穴を掘るならどうでしょうか?
穴を掘ったことのある人なら簡単に想像がつくと思いますが、スコップなどいろんな道具を使って周りの土も広く掘っていかないと、深さ1mまではなかなか到達できません。
それと同じで、1人の人間を深掘りするのもそんなに簡単な話ではなく、演技だけであなたが持っている魅力のすべてを伝えるのは難しいです。
つまり、穴を掘るのと同じで、深く掘るためには幅広く掘る必要があるということですね。
演技力は俳優にとって重要ですが、あなたが持っている魅力の中では表面的な浅い一面です。
あなたの本当の良さを的確に伝えるためには、もっと深掘りして自分自身をよく知る必要もありますし、それと同様に「人(相手)の行動心理」なども勉強し、「自分の良さを正しく的確に伝える」スキルを身につける必要があります。
そうすれば、人に興味を持ってもらえる俳優になれる確率も高くなるでしょう。
私、自分のこと伝えるの苦手だからなんかわかる気がする…
■プロの俳優になりたい人が、必ず実践すべき6つのマインドセット
俳優を職業にすることを目指すうえで、自分の魅力を多くの人に的確に伝えるためにも実践するべき6つのマインドセットを紹介します。
・マインドセット1 勉強よりも行動が優先
「どうすればプロの俳優になれるのか?」「何から始めれば一番近道で、確実か?」といったことが知りたい人は多いでしょう。
もちろん、最初にある程度のリサーチ(下調べ)や勉強は大事です。
俳優の中でも目指したいジャンルが自分でよくわからないとか、芸能界の右も左もわからないというのであれば、まずは養成所や専門学校に行って自分の進みたい道を探すとか、空気に触れながら少しずつ芸能界を知っていくことから始めるべきだと思います。
でも、いつまでも完璧の環境や状況を求める(あり得ない)ばっかりで、なかなかチャレンジするという行動に移さない人がいます。
まずはオーディションを受けることをお勧めしても「いや~、もう少し勉強してから…」「もう少し自信がついてから…」というような人です。
でも、それをいつまでも繰り返していたらどうなるか?
「1mmも前に進みません」
そんなときはもう一度、自分の目的をよく思い出してみることをおすすめします。
あなたの目的は「俳優になる勉強をすることではなく、俳優になることだ」と。
たった1回オーディションを受けただけでも大きく前進します。
プロの審査員に自分を見てもらえたことで自分のレベルを知ることもできますし、課題も見えてくるし、「何が足りなくて」「何が必要」なのかをリアルに肌で感じられるだけでも大きく前進です。
なので、まずは行動することを心がけるようにおすすめします。
優先するのは行動。
行動するのが先。
行動したあとで、そこで感じたことや、出てきた疑問や発見した課題について学ぶといった感じです。
最初の1歩が勇気いるんだよなぁ…でもそこが大事だよね
・マインドセット2 演技の勉強と実践
俳優を職業にすることを目指すうえで、絶対に身につけたい習慣の一つが「映画(&ドラマ)鑑賞」と「舞台観劇」です。
どんなことでも、質の良いアウトプットをするためには大量のインプットが必要であると言われています。
たとえば、子どもの頃の夏休みの宿題の定番、読書感想文を思い出してみてください。
学校や学年によっても違うかもしれませんが最大で2,000字ほどの感想文を書きましたよね。
でも、それを書くために何文字の文章を読んだでしょうか?
本1冊は読んだと思うので、文字数にすれば何万字でしょう。
それだけの文字を読んで、やっとの思いで約2,000文字の感想文を絞り出したのではないでしょうか?
そのことからもわかるように、1つのアウトプットを出すためにはその何倍ものインプットが必要だということです。
これは読書感想文に限らず、どんな仕事でも同じです。もちろん、俳優にとっても。
俳優を職業にすると決めた人が、俳優を職業としている人の演技をたくさん見て、勉強するのは当然のことですよね?
たしかにそれを職業にしている俳優さんの演技って、言ってみれば教科書だもんな…
でも、驚くことにあまりやっていない人が多いのも現実です。
だからこそチャンスです。人がやっていないならそれをやるだけでも大きく差が開きます。
なので、日頃からさまざまな作品を観てたくさんのことを知り勉強するという姿勢を身につけるようにしましょう。
映画やドラマなどはリアルタイムで見逃しても、今の時代はAmazonのプライムビデオなど便利な動画配信サービスがたくさんありますし、舞台だって演劇動画配信サービス「観劇三昧」などを利用すればどこでも観放題できるのでやらない理由はないと思います。
【演技初心者向け】演技の勉強がしたいなら毎日必ずコレはやろう。という記事で福山翔大さんや船越英一郎さんが毎日映画を観て勉強していた実話を紹介しましたが、一線で活躍する俳優の中には実践している人が多いです。
そして、マインドセット1で言ったように学びよりも行動が大事なので、映画や舞台をたくさん観たあとは実際にやってみることが大事です。
オーディションの場や稽古場などで、映画(舞台)で観た演技を実際にやってみると、ただ観ただけとは違う学びが得られます。
・マインドセット3 セルフイメージを変える
セルフイメージとは、自分が自分に対して持っているイメージのこと。
あなたは自分に対してどんなイメージを持っているでしょうか?
1人の人間でも、自分に対していろいろなセルフイメージを持っています。
たとえば、「私は家族に対して優しい」「私はポジティブで明るい」「私はよく笑う」「私は友達想いだ」…など。
このセルフイメージはすごく大事で、セルフイメージ次第で自分の行動や考え方、習慣、発言などが変わってきます。
たとえば、「私は短気で怒りっぽい」というイメージを持っている人と「私は優しくて何があっても怒ることがない」というイメージを自分に対して持っている人では、同じ出来事があっても反応がまるで違います。
俳優あるあるのわかりやすい例で言うと、舞台や撮影で「このセリフ、苦手だな…」と思っているセリフほど実際に間違えることが多いです。
日常生活の中でもそのような経験があるのではないでしょうか?
そのように、セルフイメージは現実の行動に大きく関わってきます。
ただ、セルフイメージは実は簡単に変えることができます。
どうするかと言うと、そうでありたいイメージを先に思い込むようにするだけです。
早口言葉が苦手な人が「私は早口言葉が苦手だ」と思っていたものを、「私は早口言葉が得意だ」と思うようにする(決める)
そして、意識して早口言葉が得意な人のように振る舞うようにします。
早口言葉が得意な人はどんな感じで、何をしているのか?
早口言葉が得意な人が日頃からやっていそうな練習方法をリサーチして、同じように日常的にしっかり練習するようにしましょう。
また、「私は早口言葉が得意だ」と本気で思っていると早口言葉を披露しないといけない場面でもリラックスして話すことができますし、変な緊張も少なくなって、実際に本番でもうまくいくことが多くなります。
思い込みってよくもわるくもすごいパワーあるもんな~
そのようにして、「私はプロの俳優だ」「大きな映画館で主役を演じる俳優だ」というセルフイメージに、まず変えてみましょう。
人はセルフイメージに合わせて自然に行動するようにできています。
「自分は初心者だ」と思っているとどうしても初心者のように行動してしまいがちです。
「初心者だからこのぐらいできればいいか」と自分の中のボーダーラインも低く設定してしまう。
でも、自分はプロだと思っていたらどうでしょうか?
「プロとして最低限このくらいはできないと…」と、プロとしての高いボーダーラインを自分自身で設定することができます。
これが、「プロ意識」というものです。
そのようにしてプロとしての意識と自覚を持てるようになると、映画や舞台などの見方も変わりますし、考え方も変わります。
考え方が変われば発言も変わり、行動や習慣まで変わってきます。
「どうせ自分はまだ初心者だから…」とか「始めたばかりだから出来なくて当然」といったことを考えなくなりますし、言わなくなります。
そして、「プロなのにこんなこともできないようではダメだ」と考えるようになると、自分から積極的に動くようになり、自分を律することも出来るようになります。
たしかに自分はプロだって思うと背筋がシャキッと伸びる感じがする…
さらにイメージを明確にする具体的で簡単な方法は、あなたが思う「プロの俳優」のライフスタイルを時間軸で書いてみることです。
何時に起きて、何時から何時まで何をして、どんな生活をしているか。
たとえば、ストレッチをする、筋トレをする、映画を観て勉強する、ボイストレーニングに通う、滑舌の練習をするなど、プロの俳優がやっていそうなことを書き出し、どんな生活をしているのかをイメージしてみましょう。
そして、あなたが今、できるところから実際にやってみることが大事です。
意識して少しずつでも毎日実践するように心がければ、実際にセルフイメージが変わってくるので、ぜひ取り組んでみてください。
・マインドセット4 批判や誹謗中傷を気にしない
最近はSNSなどでの有名人に対する誹謗中傷なども大きく取り上げられるようになりましたが、実際に俳優としての知名度が上がってくると、そうしたことがあなたの身にも起こるかもしれません。
でもそのような批判に対しては、無神経になる。不感症になる。という意識を最初から持っておきましょう。
一瞬は傷つくかもしれませんが、徹底して無視するという心構えでいましょう。
批判される人の銅像はあっても、批判する人の銅像はない。と言われるように、歴史上の人物を振り返ってみても、何か大きなことをする過程では絶対に誰かの批判や反感を買ってしまうものです。
誹謗中傷は許されることではありませんが、成功者をいわれもなく妬む人もいます。
大事なのは、その批判に対して無神経になることです。
・マインドセット5 ファンとの信頼関係の作り方
どんな仕事でも、お金と引き換えに、相手に価値を与えるということが前提にあります。
買う側は価値を受け取って幸せ、売る側はお金を受け取って幸せ、という具合に両方にとって幸せであるべきはずです。※双方が幸せになれない価値は、仕事としては✖
そこで、気をつけたいことがあります。
特に小劇場などに多く見られることですが、もし、自分が売る商品のことを良いと思えないのなら、価値を信じられないのなら、売ってはいけないということを頭に置いておきましょう。
具体的にどういうことかと言うと、あなたが舞台に出演するとします。
小劇場などの場合は、キャストや関係者が手売りでチケットを販売するのが当たり前です。
きっとあなたも小劇場の舞台に出演する場合には経験すると思います。
そのときに、思い出してください。
あなた自身がその作品や共演者に惚れ込めない場合は、絶対にチケットの販売活動はやめたほうがいいということを。
どうしても売らなくてはならないという場合は、先に商品を改良するというのが一般的な考え方です。
もしくは、料金と同等の価値がないと思うなら無料にするとか、減額するとか…。
これはどのような仕事でも同じでしょう。
「そんなに面白いとは言えないですけど、よければ観に来てください」と言うのであればまだ誠意がありますが、自分自身であまり面白いと思えない舞台を「面白いので観にきてください」とお客さんにおすすめする。
これは「誇大広告」であり、ひどい言い方をすれば「詐欺」です。
ビジネスの当たり前の価値観として、「これを買ったらお客さんが絶対に価値を得られる」「お客さんの人生の質が絶対に上がる」と思えないなら売ってはいけないというのが正解でしょう。
真摯にお客さんや視聴者に向き合うことで、あなたを応援してくれるファンとの信頼関係も確かなものになっていきます。
たしかに、美味しいと思っていないものをおすすめする飲食店があったら怒るわ(笑)
・マインドセット6 積極的に人前に出る
俳優は1人でも多くの人に知ってもらわないと何も始まりません。
レッスンやワークショップばかり受けていても、映画や舞台を観て勉強ばかりしていても、それだけでは絶対に売れません。
自分自身のチャンスを広げる一番簡単な方法は、オーディションなど仕事に繋がる人がたくさん集まるところに積極的に行くことです。
もちろん、自主制作の舞台や映画に積極的に出演するというのも素晴らしいことですが、それに出演するにしても、まずはオーディションですよね。
オーディションは受かる自信がなくてもどんどん受けることをおすすめします。
仕事に繋がるチャンスでもありますし、仮にそのときは受からなくても積極的に受けていれば覚えてもらうことができて業界の人との人脈に繋がるかもしれませんし、他の俳優から刺激を受けてそれがモチベーションになるかもしれません。
そして何より、自分を知ることができます。
■良い演技とは、人の心を動かすこと
俳優の演技とは、ただセリフを覚えて話すだけではありません。
観客や視聴者の心を動かすことがプロの俳優としては必須です。
たとえば、あなたが素晴らしい人格の人を演じるとき、視聴者はただ傍観するだけではなく「こんな人になれるように私も心がけよう」と思ってもらえたらプロの演技と言えるでしょう。
反対に怖い人の役や酷い人の役を演じるときは、「怖い…。絶対にこんな人にはなりたくない。私も普段の生活で気をつけよう」と思われたら役者冥利に尽きますよね。
つまり、プロの俳優の演技は人の心を動かさないといけないということです。
「自分だったらどんな演技に心を動かされるか?」を考えてみる。または「誰(どの俳優)の演技に一番心を動かされるか」を考えてみる。
それを見つけたら、まずは徹底的に真似してみるのも演技が上手くなる近道です。
俳優を目指す人の多くが、「演技がうまく見えるテクニック」や「できるだけ楽に、簡単に売れる方法」などが知りたいと思いますが、そんな魔法の方法ばかり探していては迷走することになります。
俳優を目指し始める前の心の準備として、マインドセットはとても大事です。
これも演技のテクニックに直結する話なのでぜひ頭に入れておきましょう。
そして、できることからでもいいので実践していきましょう。