こんにちは。
多くの俳優が気づいていないことですが、舞台の公演情報をSNSなどに投稿するときや、公演案内を知り合いに送るときなどに「売れない俳優」の特徴が出てしまっています。
こちらの記事では、その特徴について解説します。
これから俳優活動を始める人や、すでに俳優活動しているけどまだ俳優として生計を立てられていない人は是非、参考にお読みください。
多くの売れない俳優に、一番欠けているもの!
SNSの投稿や、直接送ってこられる公演案内などでわかる「売れない俳優の特徴」を一言でわかりやすく言うと、「一番大事なことが欠けてしまっている」ということです。
欠けてしまっている一番大事なこととは何か!?
それは、「お客様視点」です。
お客様視点、お客様目線というと大きな意味になってしまいますが、つまりは、お客様の求めていることなど、お客様の心理を理解できていないということになります。
たとえば、舞台で考えると、以下の2点について理解しておくだけでも案内の送り方が違ってきます。
- お客さんは何をしに劇場まで足を運んでくれる?
- お客さんは何を求めている?
そうですよね。
実際にこうして書き出してみると、すごくシンプルなんですよね。
「おもしろい芝居(素敵な作品)を求めて、それを観るために劇場まで足を運んでくれる」
これだけのことです。
もちろん、出演者の身内や近しい知り合いなどは、その出演者が「出ているから」という理由だけで観にくるお客さんもいるでしょう。
そのようなお客さんの中には、作品の良し悪しや、クオリティなどはあまり関係なく、知り合いである出演者の頑張っている姿さえ観れればいいという人もいるかもしれません。
でも、それは身近なお客さんのみの話で、多くの一般的なファンは、やっぱり「良い芝居」が観たくて足を運びます。
そのような一般的なお客さんに対して「お客様視点が欠けてしまっている」とはどういうことか?!
公演情報の送り方に売れない俳優の特徴が出ています
まー、これは個人の性格や性分にもよりますので個人差はありますが、本当に多くの売れていない俳優に共通している特徴があります。
それは、公演情報や案内の仕方です。
「自分本位」
こう書くのが一番わかりやすいと思いますが、上記で説明した「お客様視点」とは対照的で、自分視点からの発信だけが中心になっている人が多い。ということです。
では、具体的にはどのような部分が「自分本位」なのかを説明したいと思います。
まず、さきほどの
- お客さんは何をしに劇場まで足を運んでくれる?
- お客さんは何を求めている?
という2点を再認識してほしいのですが、
お客さんが求めているもの、それは第一に「おもしろい(素晴らしい)芝居」です。
ですが、
●お芝居のみどころ
●今回の作品のおすすめポイント
を、ちゃんと伝えられていない俳優がとても多いんですね。
それどころか、<あらすじ>は載せていても、そもそも「みどころ」も「おすすめポイント」もまったく書かずに案内を送ってくる俳優が多いです。
そして、間違ったみどころやおすすめポイントを書いている俳優も多いです。
★ちょっとズレているおすすめポイントの例★
- 演出家がちょっと名のある人
- 脚本がちょっと名のある人
- 共演者の中にちょっと名のある人や話題の人がいる
- 自分がどんな役をやるか
このような<みどころ>や<おすすめポイント>ばかり書いている人は要注意です。
この辺りのことは、あまり興味のないファンや一般客も多いです。
こういうおすすめポイントを押す人に多いのは、
人の肩書きを利用したがる人(誰かの肩書きに乗っかろうとする)
です。
僕の周りには「売れている俳優」も「売れていない俳優」も様々いまして、実際に舞台の案内などをたくさんもらいます。
そこでいろんな人の案内文などを見比べる機会が多いのですが、俗に言う「売れている俳優」に多いのは
どれほど良い作品か
に焦点を当てている俳優がとても多いです。
案内に書かれていることも、
「こんな素敵な言葉(セリフ)が並んでいて~」
「こんな素敵な場面があって~」
「こんなテーマを持った作品で~」
「こんなみどころが満載で~」
「観終わったあとにきっとこんなことを感じてもらえる~」
など、作品に関することが第一にピックアップされています。
もちろん、脚本が誰で、演出家が誰で、共演者にはこんな人も出演していて、など、その作品に関わる情報は必要ではあるのですが、それが一番の押しではないということです。
反対の立場で考えれば、求められることがわかる!
公演情報をSNSなどの投稿する際や、知り合いに公演案内を送る際も、反対の立場になって考えれば「求められること」がわかります。
求められることと言うか、相手が「知りたいこと」ですね。
まず、実際に送られてくるサンプル案内文を見て、送られた側視点で見てみましょう。
下の画像は、公演案内に多い1つのパターンです。
これから俳優を始める人も、同業者の知り合いなどが増えると、こうした案内が頻繁に届くようになります。
客観的にみて、いかがでしょうか?
もしもこの案内をもらう側だとして、興味がわくでしょうか?
もっと身近なおすすめの食べ物などに置き換えて考えてみれば簡単です。
たとえば、人にどうしてもおすすめしたいラーメン。
「タイトル」のところをそのラーメンの名前に入れ替えて考えてみてください。
このような感じになりますね。
いかがでしょうか?
そもそもラーメンが大好きな人か、よほどの味噌ラーメン好きなら、この案内文だけでも食べてみたいと思うかもしれませんね。
でも、一般的には、もっと味などについてのおすすめポイントを知りたいところですよね。
「こだわりの手打ち麺で、今まで食べたことのないような食感をご堪能いただけます!」
「仕込みに3日間、そこから1年寝かせた、目が飛び出るほど美味しいとお褒めの言葉をいただいている手作り味噌で作った当店自慢の味噌ラーメンです!」
「今まで一番多く食べたラーメンが味噌ラーメンだというお客様から、初めて食べる美味しさ!と賞賛を受けました。」
「当店自慢の味噌ラーメンを食べたあとは、必ずと言っていいほどお客様から幸せな気分になったよと言われます!」
「元気のないときにこそお越しください。当店自慢のスタッフと、他では食べられない当店自慢の手作り味噌で作る味噌ラーメンが元気にさせてみせます!安心してお越しください」
など、
●どれほど、美味しいのか
●他とは何が違うのか
●食べることで自分がどうなれるのか(何を感じられるのか)
この辺りが知りたいところではないでしょうか。
舞台の公演案内でもこれと同じことが言えます。
受け取る側が一番知りたい情報が抜けている場合が多いんです。
なので、常に情報を受け取る側の立場になって、本当に知りたい情報をお知らせしたり、ご案内できているのかを考えるようにしましょう。
【重要】さいごに。これに気づいていない俳優はヤバい。
最後に、もっとも大事なことを書きます。
これに気づいていないとちょっとヤバいです。というくらい大事なことです????
今回の記事では、売れない俳優は公演情報の送り方でわかるというテーマで、「お客様視点が欠けていること」「自分本位になってしまっていること」「反対の立場で考えれば、相手が知りたいことがわかる」ということを書きましたが、
なぜ、そうなってしまうと思いますでしょうか?
理由は、もっとも根本的なことなんです。
それは・・・
その俳優自身が物語や作品に感動していないから
です。
単純に考えてください。
本当に目が飛び出そうなほど美味しい味噌ラーメンに出会って、とにかく誰かにそれを食べてほしいとおすすめするときに、何を伝えますか?
すすめる人に、何を知ってほしいでしょうか?
まず第一に、
どれほど美味しいか
を伝えたいと思うのではないでしょうか?
これは、ラーメンに限らず何でもそうですよね。
とても気に入った商品やサービスがあれば「何がいいか?」「どれほどいいか?」「どれだけすごいか?」を伝えたくなると思います。
どんな仕事でも同じことが言えます。
でも、人におすすめするときにその部分についてあまり触れていないということは、その商品やサービスに自分自身が人に話したくなるほどは感動してないってことですよね。
それが、案内を受け取る側にも感じ取れてしまうんですよね。
「やばいやばいやばい!!あの店のラーメン恐ろしく美味しいよ!!今まで食べたことがない美味しさ!!もうスープ飲んだ時点でノックアウトされるよ!」
「あのマッサージ師ゴッドだよ!!1回のマッサージで肩こりがすっかりなくなるよ、マジで!!私は10万でも安いと思うくらい価値があるよ!」
「ヤバい。心が震えまくった!もう一生分の涙流すくらい感動したよ~。めっちゃヤバい。話してたら思い出してまた泣きそう~」
おすすめしてくれる人の熱量でかなり伝わり方が違います。
こういうことは日常生活の中でもよくありますよね。
「そこまで良いんだったら1回試してみたくなったな~」っていうようなことありませんか?
それって、おすすめしてくれる人次第だったりしますよね。
僕が初めてミュージカルに出演したとき、メンバーはそうそうたるメンバーで、オーディションのときに3分間の特技を披露する時間があったんですが、横でみていて全員に拍手していました。
歌、ダンスなど、もう本当にオーディション風景だけでお金が取れるほどクオリティが高いプロの集団でした。
ライバルであるはずの人たちに、自然と拍手してしまうほど魅了されていたんです。
自分も出演者なのに、見ていて感動して心が振るえ、本当に涙が出るほど素晴らしいキャストでした。
そんな素敵な芝居なら、当然のように1人でも多くのお客さんに届けたくなるものです。
なんなら、自分が出演していなくたって、本当に素晴らしいキャストで本当に素晴らしい物語だから絶対観てほしいという気持ちになります。
つまり、そのくらい強く人にすすめたくなるくらい自分自身が素晴らしいと思えていないといけないし、またそういう作品になるように創らなければいけないわけですよね。
その、自分自身の感動が欠けていると、どんな言い方でおすすめしようと本当の良さは伝わらないと思います。
味噌ラーメンを食べて涙が出るほど感動した人と、そこまでは感動していない人と、誰か違う人におすすめするときのポイントも、熱量もすべてが違うと思いませんか?
当然、相手への伝わり方も全然違いますよね?
意外にも、そのシンプルな原則に気づいていない俳優は多いので、是非ともあなたはそのことを常に意識して、あなた自身が感動できるお芝居を創り、その感動をそのまま人に伝えるようにしてください。
そのシンプルな原則に沿ってさえいれば、必ず人へのおすすめの仕方も、公演案内の送り方も自然と相手が興味の沸くものへと変わります。