俳優を目指す人にとって一番仕事に直結する場と言えば、まずは「オーディション」ですね。
誰もが様々な内容のオーディションを経験すると思いますが「これさえやっておけば、100%オーディションに受かる方法」なんていうものは存在しません。
でも、工夫する事で「受かる確率を大幅に上げる」方法はあります。
オーディションに受かる確立を上げる工夫なんて、考えれば考えるだけいろいろあるかと思いますが、今回の記事でお伝えしたいのは、まず一番最初の部分です。
選考者がプロフィールを手に取った時に「見やすい」「伝わりやすい」「興味を持ってもらいやすい」という事を念頭に、「オーディションに受かる確率を大幅にアップする構成」についてお話しします。
書類審査に受かる確率を上げるプロフィールの構成
オーディションと言うと、「オーディション会場に出向く」ことからがスタートと考えている人も少なくないですが、そういう人には一度オーディションの流れから見直してみる事をおすすめします。
まず、どんなオーディションでもだいたいが「書類選考」から始まります。
事務所に所属している人の中には、事務所が事前にプロフィールを送り、「書類選考」に通った後で報告される人もいると思いますが、フリーで活動している人などはプロフィールを送付することも自分でやる人が多いと思いますのでよくわかると思います。
そして、「書類選考から始まる」という事は、本当は「プロフィール」を送付する時点で既にオーディションは始まっているという事なんですね。
オーディションは顔を合わせてからが勝負だと思っているなら大間違い
では、この「プロフィール」に対して、どんな工夫をしているでしょうか?
きっとオーディション会場に足を運んで、初めて審査員の方々の前に立つ時は、好印象を持ってもらえるように何かしらの心構えをしていくのではないかと思います。
初対面の場合、最初の印象が大事なことは、日常生活でも同じことが言えるので誰もがわかっていることだと思いますが、実はここが大きなポイントなんです。
オーディションを受ける側からすれば、多くの場合は、オーディション会場で顔を合わせるまで選考者の情報などは一切ない状態で「初めまして」します。
でも、選考者は、事前に送られてきたプロフィールに目を通す瞬間に「どんな人だろう?」と興味を持ち「初めまして」な感覚で目を通します。
と、いう事は、選考者にとっては、この「プロフィールを手に取った時点」がファーストコンタクトの瞬間と言えます。
だとすれば、初めて審査員の前に立つ時と同様の緊張感と心構えが、本当は「プロフィール」を送る時点で既に必要なんですね。
そういった心構えを持って工夫し、プロフィールを準備しているでしょうか?
プロフィールのコンセプトを考える
では、プロフィールに対してできる工夫ってどんなことがあるでしょうか?
まず、プロフィールを見た人に、「何を伝えたい(感じてほしい)のか」「何を知ってほしい」のかといった「コンセプト」や「目的」を明確にしましょう。
これは受けるオーディションの内容によって、その時々で変わるかもしれません。
例えば、5歳児の母親(父親)で落ち着いた雰囲気の役という設定のオーディションを受ける時と、バリバリのショーダンサーやビジュアル系ロックバンドのボーカルで気性が激しい、という設定の役のオーディションを受ける時に、全く同じアピールやアプローチはしませんよね。
中には、オーディションを受ける役の設定や条件によって写真やプロフィール自体を使い分けているという俳優もいます。
受けるオーディションの募集要項によってはそのくらい工夫するのも必要かもしれませんが、そこまではやらなかったとしても、最低でも、自分という俳優の「何をアピールしたいのか」「何を知ってほしいのか」といった事くらいは定めておいて、それに基づいたプロフィール構成にしておいた方が見る側にとっても丁寧だと言えますね。
オーディションに受かる為の宣材写真
「コンセプト」が決まったら、次はそのコンセプトに沿って、「より伝わりやすいように」「より知ってもらえるように」プロフィールを構成していきます。
その時に大事なのはやはり、パッと見て一番わかりやすい「プロフィール写真」です。
多くの場合、一番最初に目がいくのが「写真」だと思います。
最悪の場合は、プロフィール写真で興味を引かれなければ、内容に目を通してもらえない場合もあるかもしれません。
つまり、プロフィールの構成の中でも「プロフィール写真」の重要さが占める割合はかなり高いと言えます。
では、「プロフィール写真」に対してできる工夫ですが、まずは先ほども少しお話ししましたがオーディションを受ける役によって使い分けるという事もできます。
また基本的に、自分の個性やキャラクターなどを印象付けるのに最も相応しいと思われる写真を用意するなど、とにかくその写真で「何を感じてほしいのか」「何を知ってもらいたいのか」「どういった印象を持ってもらいたいのか」を重要視した写真にするようにしましょう。
オーディションでは、役の設定や条件、そしてイメージなどはある程度決まっている場合が多いので、当然選ぶ側もイメージしやすい状態で見せてもらえるのがありがたいと思います。
あえてイメージとは真逆の俳優や、新しいイメージを生み出してくれる俳優を選ぶ場合もありますが、だいたいは作品のテーマや作風、演出、他の役とのバランスなどを考慮して選考されます。
既に俳優として活動していてオーディションを受けた事がある人なら経験済みだと思いますが、すごく笑ってもらえたり、興味を持ってくれて根掘り葉掘りと質問もされて「よし!とった!」と、手応えありのオーディションが箸にも棒にも引っかかっていなかった事ってありませんか?
ただそれは、あなたという俳優には興味を持ってくれたけど、たまたま「その時に求められているキャラクターや容姿ではなかった」というケースが多いので大きなショックを受ける必要はありません。
でもそんな場合でも、少しでも工夫して求められているキャラクターや印象に近づけることができていたら、掴み取れた役かもしれないので、工夫しないより、した方がいい事は言うまでもありません。
それは最初に目につく「プロフィール写真」の段階から言えることなので、できる限りどういった役のオーディションなのか、台本が手元にあるのであれば台本から紐解いて、台本がなくても得られるだけの情報を得て、役をイメージしてから写真を用意するなどした方がいいでしょう。
プロフィールの配置を考える
コンセプトを定めるのと写真を準備するのと同時に、プロフィールの配置についても工夫しましょう。
例えば、「写真をどこに配置するのか」それ一つでも見た目の印象やインパクトが大きく変わりますね。
プロフィール写真で一番多いパターンが、履歴書などと同じ上部左側に配置されているパターンが一番多いです。
この画像の位置ですね。
想像してみてください。プロフィールが数百枚くらいの山になっていて、それを1枚1枚隅から隅まで読み込むことは難しいので、まずは上から順番にざっと見ていくとします。
その時に1枚だけ、画像の配置が違ったとします。
例えば、全面にプロフィール写真が強調して配置されている。例えばこんな感じです。
思わず手が止まりませんか?
これで表紙に名前も何も記載されていなければ、僕なら間違いなく「誰これ?」「どんな人?」「なんでこの構図?」と気になって、次のページをめくってみたくなります(笑)
「目立てばいい」という訳では決してありませんが、インパクトという点で、手を止める工夫や「オリジナリティ」は大事です。
「書類審査」を通過して、その次の実技審査などにいかない限り、俳優としての仕事には繋がらないわけですからね。
更にこんなポーズなら、100%選考者の手を止めると思いますよ。
なぜか名刺を差し出しているプロフィール写真とか(笑)
なぜか激しくポーズを取っているとか(笑)
とにかく配置一つで、インパクトや印象が変わるのは間違いありません。
選考者の気持ちになってみて、大勢いる応募者の中から、自分なら「もっと知りたくなるな」「一緒に仕事してみたいな」と思わせるような人ってどんな人だろう?という点を考え、構成や構図も考えてみましょう。
この配置は、画像に限らず、生年月日や趣味、特技などの個人的な情報や、芸歴(経歴)なども含めて、全ての項目で当てはまります。
「右にならえ」ではなく、どうすれば「見やすいか」「もっと見てみたくなるか」など自分なりに工夫して考えることが大事ですね。
事務所に所属していて、自分のプロフィールの構成や、どんなプロフィール写真を使っているかさえ知らないという人も時々いますが、マネージメントを任せているとはいえ、自分自身の事であり、自分の未来、将来に直接関わってくることなので、興味を持って、事務所やマネージャーと相談や提案をしてみるようにしましょう!
まとめ
プロフィールはあなたの事をまだ知らない人に、初めて知ってもらう為の大事な資料です。
構成や書き方一つで印象は大きく変わります。
プロフィールの構成や写真などで、「なんだか暗そうな人だな」という印象を受ける場合もあれば、「一緒に仕事したら現場が明るくなって楽しそうだな」と感じたりもします。
それがファーストインパクトですね。
実際のあなたは非常にポジティブで明るいのに、プロフィール写真が暗い感じに写っていて本当のあなたの魅力が最大限に発揮されておらず、見た人に伝わらないとしたら、もったいない話だと思いませんか?
以前、あるキャスティングプロデューサーが言っていたことですが、
芸歴をたくさん羅列している人っているでしょ?あれって「これだけいろいろな仕事をしてます」って事だと思うんだけど、「なかなかいろんな経験してるじゃない」と受け取ることもできるけど、「これだけいろんな仕事のチャンスがあって、まだそれほど売れてないって事は実力に問題があるのか、人間的に問題があるのかな?」とも受け取れるんだよね。むしろ一つも書いてない人がいたら、逆にそっちに興味を持つかもしれない。
と、仰っていました。
もちろん、この事からもわかるように何事も「正解なんてない」んですが「自分の納得のいく答え」はあると思います。
それには自分自身で考え、その自分の考えに責任を持つことでしか納得はいかないと思います。(もちろんいろんな人の意見やアドバイスを聞きながらでいいんですが。)
そのことを踏まえ、「見やすい」「伝わりやすい」「興味を持ってもらいやすい」を念頭に置きながら、自分自身で「目に留まる工夫」「手を止める工夫」をしていきましょう。