なぜ、俳優になりたいですか?
俳優になる「目的」を教えてください。
これも、ワークショップに参加してくれる人に必ず最初に聞く質問です。
なぜ最初にこの質問をするかと言うと、自分が「俳優になる目的」が少しズレてしまっている人がいるからです。
正確に言うと、自分自身でも気づかないうちに「手段」を「目的」だと思い込んでしまっている人がとても多いです。
「ドラマに出たい」
「女優になってCMに出たい」
「俳優になってお金持ちになりたい」
「映画の主演がやりたい」
「〇〇の劇団の舞台に出たい」
など、多くの場合が、このような答えが返ってきます。
本当にそれが、あなたが俳優になる、真の「目的」でしょうか?
そんなとき、こんな風に聞き返します。
「では、女優になってCMに出られれば他には仕事はいらないですか?」
「〇〇の劇団の舞台に出られれば、もう辞めてもいいですか?」
少し意地のわるい質問ですが、当然、ほとんどの人がNOと答えます。
何故なら、掘り下げていくと、それは本当は「目的」ではなく、最終的な「目的地」にたどり着く為の一つの「通過点」であり、「目的」を達成する「手段」の一つだからです。
とは言え、その程度の違いは、それ自体は大した話ではないんですが、俳優を仕事として長く継続していく上ではとても大事な要素になってきます。
そこで、この記事では「本当の目的」をハッキリと見つけ出す方法とコツを解説していきますね。
一度しかない人生をかけて、俳優を志す「目的」は?
最初は様々な動機が「きっかけ」となりますので今の段階では「手段」が「目的」になっていても、目的自体が曖昧な状態でも大丈夫です。
現在、第一線で活躍している俳優の中でも、最初から目的がハッキリしていたという人は少ないかもしれません。
ただ、俳優を職業として取り組んでいく中で、どこかでは「明確な目的」を持つ事が必要になってきます。
例えば飲食業でも、シェフを目指す最初の動機は「美味しいラタトゥイユが作りたい」でも「キャベツを高速で切れるようになって有名になりたい」でも何でもいいんです(笑)
でも、たとえあなたが「日本一高速でキャベツを切れるシェフ」になったとしても、良い雰囲気の中で美味しい料理を食べて心もお腹も満たしたいお客さんにとっては、あまり関係ないことというか、どうでもいいことですよね(笑)
仕事となれば、「自分を満たす」よりも「お客様を満たす」ことが最優先になりますので、最終的な「目的」は、何を差し置いても「お客様のお腹も心も満たし、満足してお帰りいただくこと」以外にありません。
「キャベツを高速で切れるようになって有名になりたい」は、シェフを目指そうと思ったきっかけであり、一流のシェフになるための1つの手段です。
同じように、「〇〇みたいなCMに出る俳優になりたい」「あの監督の作品に出たい」「〇〇みたいな舞台に立ちたい」などは、俳優を目指そうと思った「きっかけ」であり一流の俳優になるための手段の1つだということですね。
この「動機」や「手段」が、自分の中での「目的」だと思い込んでいる人が意外と多いです。
俳優のどこに「生涯をかける価値」を感じている?
キャベツが日本一高速で切れるシェフとして有名になったとしても、料理の評価があまり良くなくてお客様のお腹も心も満たす事ができていないとしたら、シェフとして、それでも満足でしょうか?
当然、この答えも”NO“でしょう(笑)
同じように、いくら映画に出られるようになっても、観た人に特に何かの影響を与えられている訳でもなく、満たせている訳でもなかったらどうでしょうか?
さらに言えば、それが自分の実力ではなく、例えばバーターなど事務所の力だとしたら?
バーターとは、簡単に言うと、既に一線で活躍している「売れている」俳優(芸能人)に、同じ事務所の若手や新人をセットにして売り出すという営業方法です。いわゆる「抱き合わせ手法」です。
映画やドラマ、舞台に出られればそれでいい。それでもお金が稼げるならそれでいいという人ならそういった状況も気にならないのかもしれませんが、多くの人はきっと、それが俳優になる最大の「目的」ではないのではないでしょうか?
あなただけの「成功」の形を明確に思い描く|夢ノート
極端な例ではありますが、
- 「俳優になっただけ」
- 「映画に1本出れただけ」
- 「CMに1本出れただけ」
それだけでは、「真の目的達成」とは呼べないと思います。
では、あなたが具体的に達成したい俳優としての「目的」とはどんなものでしょうか?
実際に俳優を目指して活動している人の中にも、よくわからずにやっている人や、あまり深く考えずにやっている人も多いですね。
本当の「目的(夢)」を見つけるにあたって、是非一度やってほしい事があります。
ノートとペンを準備して、そこに「俳優になって、やりたい事」を思いつく限り全て書き出してください。
例えば、
- 俳優になって、自分が出ている作品を観た人に元気を与えたい
- 俳優になって、今まで応援してくれた人に焼肉をおごりたい
- 俳優になって、お金をたくさん稼いで親に家をプレゼントしたい
- 俳優になって、自分が自由に選択できる立場になったらこんな作品をやりたい
- 俳優になって、家族をいろんなところに連れていってあげたい
- 俳優を仕事にできたら、交際している人と結婚したい
- 俳優になってお金を稼いだら、児童養護施設を作りたい
- 俳優になって知名度が上がったら、街に繰り出してチヤホヤされたい
など、もうほんとに何でもいいので思いつく限り書いてみてください。
俳優になって何がやりたいかが書き出せたら、今度は俳優は関係なく、自分の人生の中での「夢」を同じように思いつくままに書き出してください。
欲しいもの、やりたい事、行きたい所、なんでもいいですよ!
とにかくここでのポイントは、想像するだけでワクワクするような、楽しくなるような、心地よくなるような、そんな願望が良いです!
このノートは大事ですよー!僕はこのノートの事を「夢ノート」と呼んでいます。
自分でも気づいていない本当の目的(夢)の見つけ方
「夢ノート」に、今思いつく事を一気に書き出したら、後は思いつくたびにその時々で追加していってください。
この「夢ノート」の中にあなたが「俳優になりたい本当の目的」を探すヒントがたくさん転がっています。
それどころか、あなたが人生を通して叶えたい「生涯の夢」「最終的な人生の目的」のヒントさえここに転がっているはずです。
重要なのは、今の現状などはあまり深く考えずに書き出す事が大事です。
例えば、”貧しい国の子ども達に学校を作ってあげたい”という壮大な夢があったとします。
でも、現在アルバイトで月の収入が15万円というような生活を送っていれば、なかなか現実としては考えにくかったり、口にはしにくい夢かもしれませんよね。
「夢ノート」を書く時のポイントは、そんな今の状況などは気にせずにとにかく自分の心が欲するもの、ワクワクするもの、そういったものをブレーキを取っ払って書き出す事です。
そうする事で「今のこんな状況でも何かそれに向けてできる事はないかな…」などと前を向いた考え方や思考が少しずつできるようになってきます。
そんな気持ちが少しずつでも自分の心の中で膨らむと、何気なく行ったコンビニでふと募金箱が目に入ったり、そこで1円でも5円でもいいから自分にできる事から始めてみようという気持ちになれたりするんですよね。
願望が浮かんだ時点で「ないな」「無理無理」「非現実的」と、最初に自分の方からその願望を遮断していては、1mmも前に進む事はないでしょう。
「まだ俳優を志してもいないのに映画の主演を張りたいなんて…図々しくて言えない」
なんて思わないで、自分が主演している映画のポスターや衣装やタイトルなど「ワクワクすること」を自由に想像しながら堂々と書き出しましょう。そして口にしましょう。
では、自由に、正直に書き出したたくさんの自分の願望や夢、または欲求の中から、
本心から望む目的(夢)を見つける為の一番大事なポイント
をお伝えしますね。それは、
それが達成できたら、次の日にこの世を去る事になっても思い残す事はない
そう思えるほどの夢こそが、究極的な、あなたの人生の真の「目的」です。
俳優としての夢や目的も、そこに向かっていないとどうでしょうか?
きっと、目指す方向性自体がズレてきますよね。
「1本でもいいから映画に主演したい。それができれば自分の人生は良かったと思える」
「お客様に”ありがとう、私の人生が変わりました”と言ってもらえたら、もう辞めてもいい」
「自分が俳優になった姿を見せて、今まで応援してくれた人や全てを支え続けてくれた親に恩返しができたら私の人生は大満足」
など、「目的」は人それぞれですが、自分が俳優を通して本当にしたい事は何かという事をハッキリさせておく事が大事です。
俳優になるという事は恋愛や結婚と同じ
なぜこれほどまでに「目的」が大事だとお伝えしているかと言うと、
例えば、結婚や恋愛などに置き換えるとわかりやすいと思います。
結婚は交際している二人にとっては、究極的な「ゴール」と思ってしまいがちです。
が、誰もが頭の中ではわかっているように「ゴール」ではなく「スタート」ですよね。
二人の「目的」や「夢」に向かってそこから始まる、一つの通過地点。
恋愛だって同じです。「付き合う=ゴール」ではなく「付き合う=スタート」
それと同じで「俳優になる」という事は目的を達成する為の「スタート地点」であって「ゴール」、すなわち「最終目的地」ではないんですよね。
付き合った時点で「自分のもの」ではないんですよ(笑)
付き合うためにどんな作戦でいくか?も大事かもしれませんが、「何の為に付き合うか?」「付き合ってからどうしていきたいのか?」の方がもっともっと大事だという事ですね。
まとめ|「目的」があるから「目的地」。
「目的」がハッキリしていない「目標地点」は「目的地」とは言えません。
「目的」があるからこその「目的地」ですよね。
ハッキリとした「目的地」が見えていないと、どこを走っているのかわからなくなったり、何の為に走っているのかわからなくなったりする事もあります。
「目的」が明確でなければ途中の険しい道で挫折してしまう可能性も高くなるでしょう。
目的地を目指す道のりは晴天ばかりではないですし、酷い嵐の時もあるかもしれません。大きな障害や険しい道も出てくるかもしれません。
でもそんな時、自分が”ワクワクする””楽しい気分になる”そんな明確な「目的」をしっかり持っていれば、100倍強い気持ちを持って楽しみながら突き進めるのではないでしょうか。
それが達成できたら、次の日にこの世を去る事になっても思い残す事はない
そう思えるくらいの「目的」があれば、一つ一つを乗り越えていく事を楽しめるはずです!
自分に正直に、自分を強く突き動かしてくれる本当の「目的」を見つけて進んでいきましょう!
やってやるぜぃー!